こんにちは、戸田たかひさ(@HushTug_toda)です。
モンゴル歴は2年くらいで、現在はモンゴルで立ち上げたレザーブランドHusuTug(ハッシュタグ)の代表をしています。
この記事では僕が実際に経験したことをベースにしながら、
・法人設立の手順
・投資家ビザの取得方法
これらを解説していきます。
実際にモンゴルでビジネス展開したからこそわかる法人設立までの細かな手順や準備するモノなどご紹介していきます。
はじめに:モンゴルでビジネスをするために必要な4つのモノ
モンゴルでビジネス展開する時に必要なモノや前もって準備しておいた方がいい事などをご紹介していきます。
それでは順を追って見ていきましょう。
1.投資家VISAの取得
海外で仕事をする為には就労VISAを取得しなければなりません。
モンゴルに限らず、海外でビジネスを展開する際に必要になります。就労VISAには目的によって適したVISAを取得しなければなりません。
今回は法人設立に必要な投資家VISAの取得についてご紹介します。
取得の手順はこのあとにある「モンゴルの投資家VISAを取得するまでの9つのステップ」で詳しく紹介しますのでそちらをご確認ください。
2.法人設立(現地法人)
モンゴルでビジネスをする為には大きく分けて駐在員事務所と現地法人2つの進出形態があります。
駐在員事務所は主に市場調査や連絡活動に限定され、営利目的で商業業務を行う事は禁止されています。
今回はビジネス活動する事を前提としている為、現地法人のみ詳しくご紹介します。
現地法人の中でも有限責任会社(LLC)と株式会社(JSC)、合弁会社(JVC)の3つの中から選ぶ事が可能です。
法人設立の際に一般的に好まれる有限責任会社と株式会社について最低資本金や発起人数の違いなどを比較しながらご紹介します。
有限会社(LLC) | 株式会社(JSC) | |
最低資本金 | 10万MNT(日本円で約4,000円) | 1,000万MNT(日本円で約40万円) |
発起人数 | 50名まで | 制限なし |
株式公開 | 私募のみ | 私募 or 公募 |
社員数制限 | なし | なし |
3.通訳
海外でビジネスをする上で最も重要な事は現地人の言葉を理解する事です。
一朝一夕で身に付くものではありませんし、その国の独特のニュアンスなど国によって異なる場合があります。
モンゴルは親日という事もあり、日本に留学経験がある人が多く、日本語を話せる人がたくさんいます。
日本語の微妙なニュアンスの違いなども理解してくれビジネスをする上では必要不可欠と言えます。
4.会計士
会社を設立したばかりだから会計士はまだ必要ないと油断してはいませんか。
海外に会社を持つ=税金対策というイメージが強く、外資系企業に対する監査の目は特に厳しいです。
不備で申告漏れなどがあった場合に脱税とみなされる可能性が高く、予想外の出費をする事も少なくありません。
更に会計士を雇ったからと言って安心はできません。
実際に僕も会計士を雇っていましたが、その会計士がいい加減な方で今年度の決算に不備があり、「最高で資本金の10%(1万ドル)を罰金として支払うかもしれない。」と急に言われた事がありました。
最終的には現地の信頼できる方から紹介していただいた会計士に決算の見直しをしてもらい、40万MNT(日本円で約16,000円)の手数料を支払うだけで解決する事ができました。
会計士を雇うだけではなく、信用できる会計士を紹介してもらい、無駄な出費が出ないようにしましょう。
モンゴルで法人設立までの9つのステップ
「モンゴルで法人設立したいが何から始めたら良いのかわからない。」そんな人の為にわかりやすく9つのステップでご紹介します。
必要書類や設立までにかかる費用なども記載しています。実際にどういったものを準備するのか確認しましょう。
STEP1:会社名を決める
日本でも法人を設立する時に始めに行います。
基本的に会社名は自由に決める事ができます。会社名の登録には登録料として500MNT(日本円で約20円)が必要です。前もって準備しておきましょう。
会社名の登録での注意点は「キリル文字での登録」「同一の会社名は使えない」の2点があります。
キリル文字での登録
出典:http://rick08.hatenablog.com/entry/2014/01/29/000859
キリル文字とはロシア語、ブルガリア語、セルビア語など様々な地域で使用される文字です。
会社名を決める時はキリル文字での登録が必要です。通訳の人などに訳してもらい記入するようにしましょう。
同一の会社名は使えない
モンゴルではすでに存在している企業と同一の会社名は使えません。事前に同一の会社名がない事を確認してから登録するようにしましょう。
STEP2:株主総会の決議と委任状の作成
株主総会の決議と法人設立を委託されている方は委任状に公証をもらう必要があります。
公証とは簡単に言うと契約書や委任状などに対し、本人によって作成されたモノである事を公的機関である公証人が証明する事を言います。
もちろん、作成書類は全てモンゴル語で表記されていないと受理してくれないので、誰かに翻訳を依頼する必要があります。
更にその翻訳も「国の機関から許可をもらった人」や「国から認められている翻訳会社」を通さないと認められないので注意しましょう。
海外での法人設立は基本的に委託する事が多いので委託されている方は翻訳に関しては問題ないかと思います。
STEP3:銀行口座の開設(一時口座)
法人設立には現地の銀行口座を開設する必要があります。
初めは一時口座を開設し、のちに本口座へ変更します。ここでは一時口座を開設する時に必要なモノをご紹介します。
開設の際に必要になりますので前もって準備しておきましょう。
必要なモノ
- 法人名称確認証明
- 代表者のパスポートのコピー
- 株主総会の決議
→STEP2にて作成したモノ - 委任状
→STEP2で作成した方のみ
STEP4:資本金の送金
外国投資企業の場合、投資家1人あたり10万米ドル(日本円で約1100万円)または相当額のMNTの資本金が必要です。
資本金をSTEP3で開設した一時口座に送金します。
STEP5:投資資金証明書をもらう
投資資金証明書は簡単に言うと一時口座に資本金が送金された事を証明する書類になります。
資本金を一時口座に送金後に銀行で受け取る事ができます。
次項の法務局への設立申請時に必要になるので送金後は必ず受け取っておきましょう。
STEP6:法務局へ設立申請
いよいよ法務局への設立申請です。
今まで作成した書類や住所証明書など必要なモノが他のSTEPに比べ多いです。
必要なモノをしっかり確認して作成漏れがないか確認しましょう。
また新しく作成するモノについては作成の仕方などもご紹介していきます。
必要なモノ
- 設立申請書
→法務局でもらうかWEBでもダウンロード可能
記入はモンゴル語のみの記入になります。 - 法人名確認証明
- 銀行口座開設通知書
→開設銀行で受け取れます。 - 投資資金証明(振込証明)
→STEP5で受け取った書類 - 住所証明
→登記住所の契約書で証明できます。 - 株式総会の決議
→STEP2で作成したモノ。 - 定款
→モンゴル語か英語で作成する - 代表者のパスポートのコピー
- 登録費用75万MNT(日本円で約3万円)
STEP7:会社の印鑑の作成
日本でも法人設立の際に会社の印鑑の作成は必須です。
海外でも同様に会社の印鑑を作成する必要があります。
印鑑を作成するには下記のモノが必要になりますので前もって準備しておきましょう。
必要なモノ
- 定款
- 切手登録フォーム(stamp registration form)
→印鑑の申込書
STEP8:一時口座から本口座へ変更手続き
STEP3で開設した一時口座から本口座へ変更します。
本口座へ変更時に代表者のサイン登録と開設した銀行のネットバンキングに登録が必要になります。
代表者のサイン登録は代表者ご本人しか行えませんのでご注意ください。
STEP9:税務局へ申請
いよいよ最後のステップです。
1〜8STEPを終了後、14日以内にモンゴルの税務局で財務部(finacial department)と税務署(tax department)へ登録する必要があります。
14日を過ぎてしまうと登録ができなくなります。
もし過ぎてしまった場合はSTEP1からやり直さなければなりません。
余裕をもってSTEP8まで終了しましたらすぐに登録する事をオススメします。
法人設立完了
以上が法人設立までの手順です。
最初の申請をしてから法人設立が完了するまではだいたい3週間〜4週間ほどかかります。
海外での法人設立にはその国の言語での書類作成が必須です。
信頼できる会社に書類作成の委託をお願いしましょう。
モンゴルの投資家VISAを取得するまでの9つのステップ
続いて投資家VISAの取得方法を解説します。
9つのステップでまとめました。実際に準備するモノや取得までの期間などをご紹介していきます。
STEP1:国家開発機関(National development agency)に申し込む
投資家VISAを取得する為には国家開発庁(機関)に申請し、投資家の証明書を受け取る必要があります。
証明書を受け取る為には下記のモノが必要になります。前もって準備しておきましょう。
必要なモノ
- 申請書
- パスポートのコピー
- 登記簿謄本のコピー
- 税務報告書
STEP2:税金証明書を印刷
ここでの税金証明書と言うのはモンゴルに設立した企業の税金証明書になります。
日本の企業の税金証明書ではないので間違えないように注意しましょう。
STEP3:イミグレーションに書類を提出
空港または国境にあるイミグレーションに下記の書類を提出します。
委任状に関しましては自分で行う場合は必要ありませんがほとんどの方が委託すると思いますので準備しておきましょう。
必要なモノ
- パスポートのコピー
- VISAの申請をする大使館の場所を伝える
- 定款のコピー
- 委任状のコピー
- 手数料1000MNT(日本円で約40円)
STEP4:メッセージでコードを受け取る
メッセージコードはSMSでのみ受け取り可能です。必ず確認できる電話番号で登録しておきましょう。
メッセージの受け取りができないとはじめから登録し直すことになりますので注意しましょう。
STEP5:STEP3で申請した場所の大使館へ行く
モンゴルにある大使館での申請はできない為、自国にあるモンゴル大使館へ行き、申請します。
例)日本人の場合は日本にあるモンゴル大使館で申請をする。
必要なモノ
- 申請書
→大使館にあります。 - 証明写真
- 手数料15,000円(日本の大使館で申請した場合)
STEP6:渡航用のVISAが支給される(1度のみ使用可)
STEP5までを終了すると渡航用のVISAが発行されます。
STEPの終了後1週間ほどで発行が完了し、申請した大使館で直接受け取ります。渡航用のVISAには有効期限があり、発行から3ヶ月間有効です。
3ヶ月間あるので過ぎる事はないかと思いますが無期限ではないので過ぎないように注意しましょう。
STEP7:モンゴルに入国後、1週間以内にイミグレーションに登録申請する
渡航用のVISAが発行されてからモンゴルに入国後1週間以内にイミグレーションに登録申請をする必要があります。
入国後、1週間が過ぎてしまうと罰金を取られてしまうので入国する時に一緒に登録申請も済ませておきましょう。
必要なモノ
- イミグレーションへの登録申請書
- パスポート
- 証明写真
STEP8:渡航上限回数の設定をする
VISAにはその期間内の出入国をする上限回数を設定します。
入国回数と期間によって料金が異なります。
ご自身にあった渡航上限回数を設定しましょう。
入国回数 | 期間 | 料金 |
1回VISA | 下記から選ぶ
・3ヶ月 |
54,000MNT(日本円で約2,000円) |
2回VISA | 81,000MNT(日本円で約3,000円) | |
無制限VISA | 1〜6ヶ月 | 126,000MNT(日本円で約5,000円) |
6ヶ月〜1年 | 256,000MNT(日本円で約10,000円) |
STEP9:VISAが支給
1〜8STEPが終了後、3週間以内に在留カードが発行されます。
発行後、イミグレーションに取りにいきましょう。
投資家VISAの取得完了
以上が投資家VISAの取得までの流れになります。
VISAの取得が完了するまでの期間は3週間〜4週間ほどかかります。
基本的に法人設立と同時進行で行います。
法人設立と投資家VISAの両方セットで委託する事もできますので初めて行う方は委託する事をオススメします。
まとめ
モンゴルでビジネス展開する際に必要な法人設立や投資家VISAについてご紹介してきました。
書類作成には基本的に英語かその国の言語での作成が必須になってきます。
初めて海外進出する際には前もって現地に法人設立経験がある会社に信頼できる委託業者など紹介してもらい委託するをオススメします。
全ての申請が完了するまで約1ヶ月間かかります。
スムーズに投資家VISAや法人設立ができるように9つのSTEPを参考にして必要なモノを前もって準備して臨みましょう。