日本人は世界でもトップを争うレベルで貯金の大好きな国民であると言われています。
バブル崩壊から、比較的不景気な時代が続いてしまい、貯蓄が少しでもなければ不安という社会情勢も要因ですが、とにかく日本人はまとまったお金が手に入っても使わず、貯蓄にしますよね。
さて、皆様は貯金をする際、どこにお金を入れていますか?
おそらく、タンスであったり、自分の財布の中であったりという方は少ないでしょう。
数十万円以上のお金となると、ほとんどの方が銀行を使うのではないでしょうか。
昨今では、貯金箱の代わりに銀行を使う方が多いですが、銀行はそもそも、預かったお金を企業や個人に融資し、利子で運営するというような構造があります。
利子によって得た利益は利息として、銀行に口座を作っている私達にも入ってきます。
年に一度、通帳に数円入っているのを見たことありますよね?それが利息です。
銀行にお金を預けることは一種の投資であるとも言えます。
しかし、日本の利率は今いくらかご存知でしょうか。
たったの0.02%~0.025%だと言われています。
これは100万円預けても、年に200円ほどしか入ってこない計算になります。1985年は100万円預けていたら40000円~50000円ほどになったんだとか。
そのため、世の投資家達は海外の銀行に預け入れて利息を得るという手法を取っていたりもします。
前置きが長くなってしまいましたが、実は、今、預け先の一つとして、モンゴルの銀行が注目されていることをご存知でしょうか。
本記事ではモンゴルの経済状況を含め、金利や銀行についてご紹介していきます。
モンゴル基礎情報
面積:156万平方キロメートル(日本の4倍)
→国土のほとんどを草原と砂漠で形成されています。人の住むことのできる土地(可住面積)は非常に少ないのが特徴です。
人口:330万人
→上述の通り、可住面積が限られるため、人口は面積に対して非常に少ないです。人口密度2人/キロ平方メートルは世界でもワーストクラス。
首都:ウランバートル市
→人口の半数程度がウランバートル市で生活しており、現在、人口増加と開発が追い付いていない状況です。
民族:モンゴル民族、カザフ民族
→現在は部族の括りはそこまで重要視されていません。
言語:モンゴル語・カザフ語
→社会主義時代はキリル文字の使用を原則としていたため、現在でもキリル文字を併用しています。
宗教:チベット仏教
→中国のチベットと歴史的にもつながりが強く、壮大な寺院が残されています。
体制:共和制
→ソビエト連邦の崩壊に伴い、社会主義政策を放棄しています。
通貨:トゥグルグ
→1トゥグルグ=0.04円(2021年8月12日現在)
主要産業:鉱業・農業等
→特に、人口に対して農牧業従事者が多い傾向にあります。主にじゃがいもや小麦などの穀物を中心に栽培が進んでいます。
→産業ごとの貧富の差が顕著になってきており、問題視されています。
モンゴルの経済状況
冷戦終結後~
ロシア革命が起きて程なくしてモンゴルは中国から独立を果たします。
しかし、中国は根強くモンゴルの独立を阻止しようと躍起になっていました。独立を果たしたとは言え、モンゴルはソビエト連邦に庇護を求めたのです。
その結果、当初、立憲君主制国家であったのを方針転換。社会主義国家になります。これは世界で二番目の社会主義国家です。
それから70年の間、モンゴルとソビエト連邦は密接な関係にあり、経済的にもソビエト連邦に依存するようになりました。
問題が起きたのはソビエト連邦崩壊後です。
モンゴルは継承国となったロシアからそれまでしてきた莫大な援助金の返還を求められるだけでなく、ロシア人労働者の流出も起きてしまったのです。
現在でも、特にチョイバルサン市ではその影響が残っており、社会問題にもなっています。
2010年~
その後、グローバル金融危機による資源価格の急落により、国際収支が劇的に悪くなるなど、モンゴルにとっては向かい風な出来事がたくさんありました。
しかし、2010年には資源価格が持ち直し、海外から進んだ技術を取り入れようと、鉱山開発に関連する海外投資を受け入れるようにもなります。
その結果、モンゴル経済はかなり活発化し、2011年からは3年連続GDP二桁成長を記録しました。
2014年~
しかし、資源価格も2011年頃には頭打ちになってしまい、その後は緩やかな長期低迷期に入りました。
2014年にはGDP成長率が1桁を割り、現在ではマイナス成長です。
2017年にはIMFの介入を受けるなど、決して経済事情が芳しいとは言えません。
モンゴルの金融事情
前述の通り、モンゴルは少し前まで、モンゴル人民共和国と呼ばれる社会主義国家でした。
しかも、中国のような市場経済の流入を行っていなかったので、民主化以降も市場経済制のノウハウがなかったと言われています。
1991年の民主化以降、まずは商業銀行の設立が盛んに行われるようになりました。
1992年にはモンゴル発の証券取引所が開設。同時に証券会社も設立します。
1997年に保険に関する法整備が進められると、損害保険会社、次いで生命保険会社も誕生します。
あわせて、個人や中小企業に融資・投資を行うノンバンク金融機関、信用組合が設立。
現在も、金融に関しては少しずつ成長していっています。
モンゴルの金融施策
2017年、IMFが3年間の拡大信用供与プログラムを実施してからは、経済成長率が順調に回復しています。
もっとも、国民に対する恩恵は少ないどころか、増税がかなり目立ちました。
自動車税、燃料税、利息、所得税、嗜好品税など、多くの分野で増税が起き、当時政権に対する国民の不満は爆発。
現在は再び共産主義政党が与党を担っています。
しかし、度々の増税により、国としての債務不履行を防ぐことができました。
しかし、依然として不良債権を抱えることになっていますので、これからもこの不良債権処理の方法をどうしていくかが問題になっていくでしょう。
モンゴルの銀行について
モンゴル銀行からの派生
社会主義時代、モンゴルにはモンゴル国立銀行と呼ばれる銀行が商業系部門も含めて全て統治していました。
社会主義国家では企業という概念がなく、生産や製造に至るすべての事柄を国が管理します。お金の貸し借りももちろん例外ではなかったのです。
1924年、始めはモンゴル商工業銀行という名前で設立。
ソビエト連邦との共同設立であったため、22名の従業員の内、18名がロシア人であり、その方針決定にモンゴルの意思は介入しようがなかったそうです。
設立当初はまだモンゴルも独立して間もない頃であったため、外貨が国内で流通していました。
しかし、1925年からはトゥグルグの発行を開始します。
太平洋戦争後の1954年にソ連の出資がモンゴル政府に移され、新たにモンゴル国立銀行となりました。
しかし、1990年代にモンゴルが民主化。同年~1991年にかけて、市場経済を更に活発化させるため、モンゴル銀行から商業銀行部門を分離させたのです。
こうして、モンゴルは国営銀行から様々な分野に精通する6行の銀行に分圧されました。
現在でも、モンゴル銀行はモンゴル唯一の中央銀行として、貨幣の発行や景気のコントロールなどを行う政府の重要機関になっています。
TDB
元々はモンゴル銀行における貿易部門を担当していた部署が分割。
民営化されて生まれた銀行です。
モンゴル国内の外国為替取引や貿易金融の大半を司り、一部、企業金融にも強いとされています。
2017年時点においては融資残高業界第一位であり、近年は住宅ローンや自動車ローンなどのシェアも狙っているそうです。
ハーン銀行
モンゴル銀行内の農業部門が民営化されたことによって生まれた農業銀行です。
社会主義時代、それまで農業とまったく無縁であったモンゴルで農業を発達させようとしていたため、モンゴル政府にとっては重要な部門でした。
しかし、民営化以後、経営手腕の伴わない人物がトップに立ったため、一時期は経営不振に陥ることになります。
しかし、その後、日本の投資家や地場財閥の資本参加により、経営を再建。現在ではモンゴル国内最大のATM網を持っているなど、不動の地位を確立するようになりました。
前述の再建経緯から、日本との繋がりがかなり深く、ATMは日本の日立オムロン製を採用。
さらに、紙幣リサイクル型のATMをモンゴルで一番最初に取り入れた銀行でもあります。
ステート銀行
現在のモンゴルでは唯一、国営銀行の位置づけにあります。
モンゴルの財務省から役員が派遣されるなど、政府との繋がりがかなり深いです。
民主化以降の中小銀行乱立による、社会混乱の調整役と言っていい役割を担っており、不良債権や放漫経営が目立つ銀行から優良資産のみを切り分けて吸収合併してきたという経緯があります。
ゴロムト銀行
モンゴルで初めて生まれた純民間の銀行です。
民主化以後、モンゴル人若手起業家3名によって創設されました。
一度、創業メンバー間で経営方針の食い違いにより、経営不振に陥るものの、結局は一部の創業メンバーの離脱により決着します。
2017年の銀行セクターシェアランキングではTDB、ハーン銀行の25.7%に次ぐ18.0%を記録しました。
ハス銀行
主に、中小企業向けの融資を行っている銀行です。
親会社のテンゲルフィナンシャルグループは日本の企業であるオリックスが18%出資しており、傘下のリース会社とのシナジー効果を探っています。
また、地球環境やエネルギー問題に対する部署も有しているのが特徴的です。
モンゴルの金利
次に、気になるモンゴルの金利を紹介します。
モンゴルの金利は15%にまでのぼると言われています。先ほど、経済不振が目立つと紹介しましたが、こういった経済不振なのに高金利という状況は途上国ではよくあることなのです。
金利15%と言うと、100万円を2年間定期預金した場合、63万円以上の利息が付くという計算になります。
日本で1%にも満たない利息で預け続けるのとは世界が全然違いますね。
しかし、上記はあくまでもモンゴル通貨であるトゥグルグで預け入れた場合です。
トゥグルグは現状、外国とのスワップ協定がなければ成り立たないほど不安定な通貨と言われています。
その通貨で預け入れるのが不安という人も多いのではないでしょうか。
残念ながら、現在日本円立てでモンゴルの銀行に預け入れることはできず、選択肢は米ドルと中国人民元しかありません。
米ドルは国際的な信用度も高く、ローリスクですが、リターンもモンゴルトゥグルグに比べると少なめ。
高い時で7%、低い時で3%台後半程度です。これでも日本の金利よりはましですが、少ししょっぱい気もしますね。
しかし、米ドルの信用と為替リスクを考えると、打倒な金利差かもしれません。
モンゴルの銀行にお金を預ける方法
まずは必要なものを用意しましょう。
残念ながら、今のところ日本にいながらモンゴルの銀行に預け入れることはできません。
ウランバートル市にある本店や支店に行く必要があり、原則対面でのみ口座開設を行っています。
パスポートのコピー、モンゴルでの外国人登録書、日本の銀行口座の残高証明、日本の会社の在職証明、最低預金残高分のお金が必要になってきます。
ちなみに、キャッシュカード発行に5000トゥグルグ、通帳発行に5000トゥグルグ、最低預金残高は普通預金口座で5000トゥグルグ、定期預金口座で20000トゥグルグになります。
合計30000トゥグルグあれば、何の問題もなく口座開設ができるでしょう。
また、特にハーン銀行は日本の資本が入っているということもあり、日本語での口座開設も可能です。
ウランバートル市内にあるケンタッキー・フライド・チキン店舗の隣にありますが、マークや看板が出ていないため、わかりにくいです。
土日は休みでので、注意しましょう。
まとめ
モンゴルにお金を預け入れることは、決していいことばかりがあるわけではありません。
やはり、モンゴル経済の低調が懸念点として挙げられます。
現に、2008年~にかけて、モンゴル国内の中小銀行が倒産し続けるということも起きました。
海外にお金を預けているという性質上、すぐにお金を引き出すこともできず、倒産なんてした時は泣き寝入り状態になってしまうでしょう・・・。
しかし、2013年からはモンゴル政府によって預金保険法が施行されました。
こうして、万が一銀行が倒産した時にも90万円ほどは保護されます。
さて、この記事を読んで、モンゴルで一発稼ぐか、リスクを回避するかは皆様次第です!