モンゴルの治安は良い?悪い?現地の最新情報を紹介!

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モンゴルはアジア諸国の中でも、比較的安全で観光しやすいといわれます。

とはいえ、近年は失業率の上昇から治安について懸念する声もあがっており、「100%安心」とは言い切れません。

モンゴル旅行に行くつもりなら、安全への備えはきちんと行っておく必要があるでしょう。

本記事では、モンゴルの現在の治安状況や治安の良い場所・悪い場所、さらに安全に旅行するためのポイントや、モンゴルでの緊急連絡先などを紹介します。

現在のモンゴルの治安

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世界で最も人口密度が低く、魅力的な観光資源を持つモンゴル。日本からは成田・関西国際空港の両港から直行便が運航しており、多くの人が観光目的でモンゴルに足を運んでいます。

これから観光したいと考える人も多いようですが、やはり気になるのが現地の治安です。現在モンゴルの治安はどのような状況なのか、具体的に見ていきましょう。

モンゴルの犯罪発生状況

モンゴル警察庁が発表した2019年の「犯罪発生統計」によると、モンゴルでの総犯罪発生件数は31,526件とされています。

ちなみに、同年の日本の犯罪発生件数は74万8,623件でした。件数だけ見るとモンゴルの方が圧倒的に少ないといえますが、モンゴルの人口は日本の約1/40です。比率でみると、モンゴルの犯罪発生件数が低いとも言い切れません。

モンゴルにおける犯罪の詳細については以下を確認してください。

  • 2019年モンゴルの犯罪件数
犯罪の種類 件数(前年比)
殺人 197件( 前年比 103%)
強盗 868件( 同 58%)
暴行・傷害 8,265件( 同 91%)
窃盗 8,968件( 同 73%)
スリ 500件( 同 39%)
詐欺 4,688件( 同 87%)
強姦 481件( 同 93%)
薬物犯罪 257件( 同132%)

モンゴルにおける犯罪件数自体は2018年より減少していますが、殺人や薬物犯罪は増加しています。特に殺人事件は比率で見ると日本より遙かに多いので要注意です。

在モンゴル大使館の発表した「安全の手引き(令和2年1月改訂)」によると、モンゴルにおける殺人の一定人口当たりの発生率は,日本の約26倍もあるそうです。

また、同じく在モンゴル大使館の発表によると、同年の邦人の犯罪認知件数は10件とのこと。内訳は以下の通りです。

犯罪の種類 件数
窃盗(スリ・置き引き・車上荒らし) 8件
占有離脱物横領 1件
暴行・傷害 1件

邦人の犯罪被害は、主に窃盗です。犯罪は3~4名のグループで行われているケースが多く、邦人を狙う犯罪グループの存在も確認されています。

モンゴルで犯罪が発生しやすい時期

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以下の時期にモンゴルを訪れる人は、十分に注意しましょう。

  • ナーダム:(7月)
  • ツァガンサル:(2月)

ナーダムはモンゴルの革命記念日に行われる国民行事で、相撲、弓、競馬の3種競技が繰り広げられます。全国から腕自慢の猛者がウランバートルに集まり、国民の熱狂は頂点に。国中が華やかな雰囲気に包まれますが、観光客を狙った犯罪が頻発しています。

また、ツァガンサルはモンゴルのお正月です。日にちは旧暦によって定められるため毎年異なりますが、2月であることはほぼ確定しています。

お正月のおめでたい雰囲気を満喫できますが、酔っ払いが多くなる時期です。小さなケンカなども起こりやすく、トラブルに遭いやすいかもしれません。

特に、モンゴルの暴行・殺人事件はお酒が絡むことが多いといわれます。日本の酔っ払いと同程度に考えないようにしましょう。

地方は比較的治安が良い

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モンゴルの人口は首都・ウランバートルに集中しており、犯罪件数もウランバートルが最も多いといわれます。地方都市はのんびりしたところが多く、ウランバートルほど深刻な犯罪に遭う確率は低いでしょう。

しかし、都市部以外でも犯罪に遭う確率はゼロではありません。

例えば草原地域で注意すべきとされるのが馬泥棒です。馬泥棒は草原地域でツアーをする観光客たちの後を付け、夜間、ツアーメンバーが眠っている隙に馬などを盗んでしまいます。

ツアーガイドが泥棒の一味だったというケースもあり、十分な注意が必要です。

また、日本人は中国人とよく似ています。モンゴルでは歴史的な問題から中国人を敵視する人が多く、中国人というだけで暴行を受けることもあります。

こうした犯罪は地域の関係なくモンゴルならどこででも存在します。モンゴル人の日本人に対する印象は悪くないといわれますが、外見だけでは判別できません。態度や行動には注意しましょう。

ウランバートルの治安状況

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モンゴルで発生する犯罪の約7割は首都・ウランバートルに集中しているといわれます。ウランバートルは旅の拠点ともなる場所ですが、気を抜くと犯罪に巻き込まれるかもしれません。

ウランバートルにおける治安状況と注意点を紹介します。

ウランバートルの治安の悪い地域

ウランバートルでの犯罪はほぼ全域で起きており、明確に「治安が良い」「治安が悪い」を地域分けすることは困難です。観光客が多いところはどこでもスリ被害が発生しているので、常に気を抜かないようにする必要があります。

そんなウランバートルでも、犯罪のホットスポットといわれるのが以下の場所です。

  • チンギスハーン国際空港
  • 州立デパートとスフバートル広場周辺
  • 中央郵便局
  • ガンダン寺院
  • テディセンターIT市場
  • イーマートスーパーマーケット

これらの地域周辺では、観光客を狙った犯罪グループが日常的に活動しているといわれます。訪れる際は周辺に気を配り、十分に注意してください。

ウランバートルでの邦人に関する犯罪発生状況

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ウランバートル全域が危険とはいえ、過去に邦人がどのような場所でどのような犯罪に遭ったのかを知ることは有益でしょう。以下は、在モンゴル大使館発表の「安全の手引き(令和2年1月改訂)」で注意喚起されている邦人被害場所です。

市内中心部:シャングリラホテル,中央郵便局,フラワーセンター及びスフバートル広場周辺路上 スリ
ザハ(市場)・デパート:メルクーリ・ザハやナラントール・ザハ及びノミンデパート(旧国立デパート) スリ、強盗
観光地(ガンダン寺やザイサン・トルゴイなど) スリ、ひったくり
公共交通機関(国際空港内,列車・駅構内,市内バスの停留所) 置き引きなど
カラオケ・バーなどの飲食店 酔っ払いによる暴行
ホテル客室内:ホテルスタッフ 貴重品の盗難など
タクシー(白タク) ぼったくり

ウランバートルには見どころがたくさんありますが、いずれもスリ被害が懸念されます。またひったくりや置き引きも多いので、観光中だからといって無防備に振る舞わないようにしましょう。

モンゴルで犯罪に遭わないために気をつけたいこと

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さまざまな犯罪が起こっているとはいえ、モンゴルの治安が最悪というわけではありません。観光客であるという自覚を持って行動すれば避けられるトラブルも多く、安全対策さえきちんとしておけば楽しく旅行できるはずです。

ここからは、モンゴルで犯罪に遭わないようにするために気をつけておきたいポイントを紹介します。

目立たないようにする

まず気をつけたいのが、「目立ちすぎない」ということです。人目につくこということは、犯罪者に目を付けられる確率も上がるということ。旅行だからといってはしゃぎすぎず、冷静に振る舞うことが大切です。

特に、日本人に対して「お金持ち」というイメージを抱くモンゴル人は少なくありません。警戒心が薄いイメージも広く浸透しているので、犯罪グループには良いカモとみなされやすいといえます。

出典:​How to Travel to Mongolia

現地では「必要以上に華美な装いをしない」「公共の場で大騒ぎしない」「モンゴルの政治・文化・宗教等を批判しない」などに気をつけましょう。

緊張感を持って行動する

日本と同じ感覚でモンゴルを旅行すると、スリや強盗、置き引きに遭う確率は高くなります。

どんな場所でも荷物から目を離さない、財布を目に付きやすいところに入れないなど、緊張感を持って行動しましょう。

とはいえ、どんなに緊張感を持って歩いていても強盗に遭う可能性はあります。運が悪く襲われてしまったら、抵抗してはいけません。自身の身を守ることを最優先してください。

現地での詐欺に注意する

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旅先で現地の人と仲良くなることがあるかもしれません。このとき「お金を貸してくれ」「両替してくれ」などと言われたら、すぐにその場を離れましょう。どんなに親しくなっても、お金の話が出てきたときは要注意です。

また、ウランバートルならクレジットカードを使える場所もさまざまあります。ただし、店員だからといって油断するのは厳禁です。

スキミング被害も報告されているため、店員の動作から目を離さないようにしましょう。

公共のバスや白タクは避ける

ウランバートル市内を移動するときは、公共のタクシーを選びましょう。公共のバスや白タクよりも犯罪に遭う確率はかなり低くなります。

ただし、ウランバートル市内を走るタクシーのほとんどは認可を受けていない「白タク」です。どうしてもタクシーに乗る必要があるときは、以下の点に注意してください。

  • 一人で乗らない
  • 車のナンバーを控えておく
  • 車内に置き忘れがないか降車前によく確認する

一方、公共のバスはスリ被害が多い上、停留所が繁華街から離れているケースもあります。慣れないと使いこなすのは難しく、観光客にとって都合のよい乗り物とはいえません。余計なトラブルに遭う確率が高いため、避けた方がよいでしょう。

夜間の外出は控える

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一般に、犯罪が多いのは深夜・早朝の時間帯です。モンゴルでは午後10時以降の不要不急の外出は避けましょう。

特に夜間の女性の一人歩きは大変危険です。わずかな距離でもタクシーを使うことをおすすめします。

また、昼間は安全な場所でも、夜になると様変わりするケースは少なくありません。夜間は公衆トイレ・公園・人通りの少ない場所,街灯がない暗い道路などには足を踏み入れないようにすることが大切です。

どうしても夜間に外出する必要がある場合は、自ら防犯対策を取ってください。「複数人で行動する」「防犯カメラや街灯のある大通りを利用する」「帰宅手段を事前に確保する」などを徹底させましょう。

薬物関連には絶対に手を出さない

モンゴルで特に注意したいのが薬物に関連した犯罪です。

2019年、モンゴルでは麻薬取引に関連する犯罪が30%以上増加しました。観光客でも巻き込まれる恐れがあるので、怪しい人や場所には近付かないよう注意しましょう。モンゴルの国家警察は薬物犯罪を脅威とみなしており、薬物に関する犯罪は特に厳しく処罰されます。

モンゴルでは覚せい剤,コカイン,大麻,合成麻薬といった違法薬物がさまざまな場所に出回っています。路上やクラブ、バーなどで進められても絶対に手を出してはいけません。

女性の一人旅は特に注意

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モンゴルは比較的安全な場所ですが、一人旅中の女性が性犯罪に巻き込まれるケースは後を絶ちません。「トレッキングツアーに参加したところ、主催者が強盗だった」「ゲルの宿泊ツアーで性犯罪に合った」などのケースがあり、一人で行動する女性は特に注意が必要です。

モンゴルでは女性が性犯罪にあった場合、事件捜査のためモンゴル警察により長期間の滞在を求められるケースがあります。

もしも女性一人で現地のツアーに参加するつもりなら、現地会社のツアーを選ぶのは避けましょう。日本から予約できる大手旅行会社のツアーを利用する方が安心です。

治安以外にも!モンゴル観光で気をつけたいこと

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モンゴルの観光で気をつけたいのは、犯罪だけではありません。のんびりしていると思わぬトラブルに巻き込まれることがあるので、十分に注意しましょう。

モンゴル観光で気をつけたいトラブルについて紹介します。

交通事故

まず気をつけたいのが、交通事故です。

近代化著しいモンゴルの中でも、特にウランバートルでは家庭の自動車保有台数が大幅な伸びを見せています。それに伴い交通量も増加していますが、交通環境の整備は追いついていないのが実情です。

道路、信号、道路標識などあらゆるものが十分でない上、ドライバーや通行人への安全教育も徹底されていません。人々の交通モラルは日本と比較して低いといえるため、交通事故が至るところで発生しています。

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極端な話、普通に歩いているだけ、青信号を渡っているだけでも車が突っ込んでくる可能性はあります。飲酒運転する人もかなり多いので、車道に面した道路を歩く際は十分な注意が必要です。

工事現場の事故

ウランバートル市内では至るところで建設工事や道路工事が行われています。日本なら工事現場の安全対策はしっかり成されていますが、残念ながらモンゴルはそうでないケースが多々見られます。

例えば、歩行者が開いたままのマンホールに落ちて死亡したりケガをしたりするケース、建設現場からがれきが落ちてきて重傷を負うケースは珍しくありません。

工事現場周辺は、安全を確かめながら歩く必要があります。

テロ

実際のところ、モンゴルでは深刻なテロ被害は報告されていません。しかし、モンゴル西部カザフ集住県は住民のほとんどがイスラム教という地域です。今後テロが起こる可能性はゼロではなく、予断を許しません。

また、モンゴル国内には外国人排斥を目指す過激な極右勢力も存在します。極右グループによる外国人への暴行事件も報告されており、組織が過激化する恐れもゼロとは言えないでしょう。

中国人と勘違いされるケースも・・・。

モンゴル国内極右勢力によるテロや外国人排斥運動の中でも、特に中国人に矛先が向けられていることが多いです。

昨今、モンゴルでは中国資本の流入が相次いでおり、国家間では安定した関係性にあると言えます。

しかし、歴史的には中国と対立していたことも多かったため、国民感情という側面からすると、中国人は決していい印象を持たれていません。

在留中国人の経営する料理店が襲撃されたなんてことも度々起きています。

日本人は中国人と間違えられることも多く、実際に事件になったりも・・・。

環境リスク

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日本ほどではありませんが、モンゴルにも地震があります。マグニチュード4.0〜4.4の範囲の地震が定期的に発生しており、地震活動にも注意が必要です。

震源地は山岳地帯の西に集中していますが、モンゴルの家屋は日本のようにしっかりした耐震設計を持ちません。大きな地震があれば首都も壊滅的な被害を受ける恐れがあるといわれています。地震に関する情報も、気にしておいた方がよいでしょう。

また、ウランバートルは大気汚染も深刻です。特に冬は暖房の必要性から、大気汚染のレベルが格段に高くなります。冬のウランバートル屋外で長期間過ごす場合は、N95またはN99準拠の粒子マスクの使用が推奨されています。

モンゴルでトラブルに遭ったときの緊急連絡先

万が一モンゴルでトラブルに遭ったときのため、以下の連絡先を控えておきましょう。

  • 緊急連絡窓口《在モンゴル日本国大使館》(開館時間:祝祭日を除く月~金曜 9:00~17:45)
代表電話 (+976)11-320777
ファックス (+976)11-313332
ホームページ  http://www.mn.emb-japan.go.jp/index_ j.htm
閉庁時間帯(休日・夜間) (+976)7004-5004

※ 委託業者に繋がってから用件を話しましょう(日本語,英語,モンゴル語対応)。内容に応じて,担当者につないでくれます。

  • 犯罪等の緊急連絡先
《消防》 101 (モンゴル語のみ)
《警察》 102 (モンゴル語,英語,ロシア語)
《救急》 103 (可能であれば,自力で移動し受診した方が早いことも)

・ウランバートル市内の主な医療機関

Intermed 病院 77011111
SOS クリニック 11-464325(時間外 91913122)
Songdo 病院 70111163
国立外傷病院 70180136
国立感染症センター 11-450491

まとめ

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モンゴルを旅するとき、気をつけたいのはスリや盗難です。日本人は「お金持ち」と思われやすいので、多額の現金を持ち歩いたり高価なものを身につけたりするのは避けましょう。

また、ゲルツアーでも金品を盗まれるケースもあります。モンゴルの大草原で開放的な気分になったとしても、貴重品から目を離すのは厳禁です。

モンゴルの治安について知れば、「モンゴルって治安が悪いのかな?」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし、「貴重品から目を離さない」「夜間の外出を控える」などは、どの国に行っても当然のことです。

せっかくのモンゴル旅行をトラブルなく楽しめるよう、防犯意識を高めましょう。