昨今の世界は非常にせまくなったと世界中の人々が口々に言います。
これは、物理的にせまくなったというわけではもちろんありません。戦後、世界中で旅客機の発達によって渡航する際の時間や料金が非常に庶民向けになったという比喩表現です。
一昔前、海外旅行と言えば富豪のする趣味みたいなもので、戦後間もない貧しい日本では中々できたものではありませんでした。
しかし、昨今、たくさんの日本人が海外に旅行・留学し、逆にたくさんの外国人が日本に旅行・留学に来ます。
モンゴルは日本と同じ東アジアの国であり、韓国や中国に次いで日本からの距離が近い国です。
モンゴル側からしても、日本をロシア・中国に次ぐ第三の隣国であるとし、親近感を持っているようです。
本記事では、モンゴルに渡航する際に知っておいた方が良いことを、新型コロナウィルスによる渡航制限情報などを含めてご紹介していきます。
モンゴルはどんな国?
東アジアに位置するモンゴルは世界18位の面積を誇る国家です。
しかし、その人口は350万人ほどと、日本の京都市くらいの人口しかありません。
広い国家に対して人口が少ないため、人口密度は2人/キロ平方メートル。これは世界でもワースト5に入ります。
国土のほとんどが砂漠か平原であり、可住面積が少なく、その少ない人口のほとんど半分がウランバートル市に集中しています。
日本人の我々がイメージする遊牧民的な暮らしは社会主義時代、次第に数を減らしていき、社会主義政策の放棄後の混乱により更に激減。
現在、モンゴルで遊牧的な暮らしを送っている人はわずか1割に到達しないくらいしかいないそうです。
モンゴルでは主にモンゴル系民族が暮らしていますが、1割程度、カザフ民族もいます。
内陸国であるという性質上、異民族の流入や交流が歴史的にも断続的に行われており、最近は中国やロシアからの移民も多い傾向にあるそうです。
渡航前に知っておくべきこと
日本からどのくらいかかるの?
モンゴルへのアクセスは主に飛行機になるでしょう。
内陸国であるため、それ以外の手段はありません。
モンゴルへの直通便で大体5時間半ほど。中国へ韓国経由の乗継便ですと、+1時間~3時間ほどかかってしまいます。
日本との時差は1時間程度なので、そこまで時差ぼけを気にする必要はありません。
渡航するのに必要なお金は?
時期的には、春先~秋口にかけて高くなり、秋口~冬場にかけて安くなる傾向にあります。
モンゴルへの航空券が最も高くなる8月頃では、往復約10万円ほど。4月、6月、9月頃でも8万円を下回る時期は中々ありません。
一方で、最も安くなる真冬の時期であれば、6万円~7万円程度にまで航空券代が落ち込みます。
過ごしやすさ等を度外視した上で、とにかくモンゴルに安く行きたいという方には冬場に行くことがおすすめです。
ちなみにモンゴルへの便を扱っている航空会社はMIATモンゴル航空、大韓航空、中国国際航空、アシアナ航空などなど。
内、MIATモンゴル航空以外は乗継便での対応になります。
MIATモンゴル航空のみが成田空港発、ウランバートル市チンギスハーン国際空港着です。
乗継便の場合、価格が安くなる可能性もありますので、入念に調べてみてください。
お金にまつわる文化について
日本とモンゴルは隣国とは言えども、文化がまったく違います。とりわけ、お金にまつわる文化の違いについては知っておいた方が良いでしょう。
モンゴルでは独自通貨であるトゥグルグが使用されています。
ただし、ツアー会社などが案内する場所では米ドルの利用もできる場所があることに加え、モンゴル国内で換金できる通貨はほとんど米ドルだけですので、日本のいる内に取り合えず日本円を米ドルに換えておきましょう。
また、首都ウランバートル市内に限ってはクレジットカードも普及してきています。
次に気を付けなければならないのはチップ文化。
モンゴルでも、チップ文化が段々と習慣化してきています。
現地の方からサービスを受けた時は、気持ちだけでもいいので多少のお金を渡しておいた方がよいでしょう。
具体的な例として、まずはホテルの清掃サービスに対してです。
チェックアウトするときに大体100円(2500トゥグルグ)程度を枕元に置いておきましょう。
他にも、現地で記念撮影をしてもらったら800円(20000トゥグルグ)ほどを渡しておきます。
チップを払う際は米ドルではなく、必ずトゥグルグで支払うようにしましょう。
治安や衛生面
モンゴル、特にウランバートル市内であればそこまで治安が悪いということはありません。
ただし、日本にいる時と同じような防犯対策と意識は絶対に必要です。
全世界共通で、モンゴルでもスリや置き引きは発生します。鞄は背負うものではなく、たすき掛けできるようなものがおすすめです。
貴重品、特にパスポートは肌身離さず持っておいた方が良いでしょう。
また、昨今モンゴルでは中国人に対する反感が非常に強いものになっています。中国系の飲食店や観光客が暴行を受けたりする事件もままあります。
そのため、アジア人顔をした日本人や韓国人も同様に襲われることも。
夜間の出歩きは極力避けるようにしましょう。
飲料水事情
生水や水道水は飲まないでください。水道水を飲むことができる国は本当に限られています。
世界には200ヶ国近い国々が存在しますが、水をそのまま飲める国はわずか9ヶ国しかありません。
日本は浄水技術が非常に発達していますが、モンゴルでも他の多くの国と同様に水道水は飲めません。
飲料用水にはミネラルウォーターを利用しましょう。
ホテルやレストランなどでも簡単に購入できます。
トイレ事情は?
首都ウランバートル市などの都会ではほとんどの場合水洗トイレが完備されています。
最近では旅行客に向けた宿泊用ゲルでも水洗トイレが備え付けられているほどです。
しかし、一度草原に出てしまうとそういったインフラはまったくと言っていいほど備わってません。
日本で言う道の駅みたいな場所はありますが、最悪、大草原の上で用を足すといったことも十分考えられます。
草原を移動するという場合はトイレットペーパーやウェットティッシュを持って行っておきましょう。
渡航するベストシーズンは?
モンゴルは島国である日本とは全然気候の性質が違います。
典型的な大陸性気候であるため、1日の寒暖差が非常に大きいのが特徴的です。
国土のほとんどの場所で日本より強い日差しを受けてしまうため、全季節を通して日差し対策は必須。
また、湿った空気がまったく流れてこないので、非常に乾燥しています。
春~夏シーズン
8月の平均気温は20度を上回り、更に最高気温は35度以上を記録することもあります。
しかし、一方で平均最低気温は9.3度。最低気温だと零下にまでその気温は落ち込みます。
昼間は日本の春夏と同じような服装でも大丈夫ですが、夜は簡単に着込めるように、上着を持っていた方が良いでしょう。
秋以降
9月・10月はまだ過ごしやすい日が続きます。
お昼の気温は15度近くまで上がるため、比較的ぽかぽかとしています。しかし、日が落ちてからは零下になることもざらにあります。
秋口でも、防寒対策は必須です。
11月以降はモンゴルの厳しい寒さが続くことになります。
11月でも月平均最高気温は-4.4度。平均最低気温は-16.2度です。
正直に言って、過ごしやすい環境とは言えませんので、この秋口以降の旅行はおすすめできません。
もし行く場合は手袋・マフラー・ウィンドブレイカー等の防寒具を一式そろえておきましょう。
モンゴルでのお土産はどんなものがある?
岩塩
モンゴルは塩の生産も有名なのを知っていましたか?
ウブスヌールと呼ばれる湖はモンゴル国最大の湖であり、世界的に見ても塩分の濃い湖であると言われています。
はるか古来、この湖の塩が結晶化したものが採掘されています。
海塩と比べ、モンゴルの岩塩はミネラルが豊富、且つほのかな甘みも感じられるとして、料理家からも重宝されているほどです。
フェルト製品
モンゴルでは、昔から厳しい寒さを乗り越えられるように、羊やラクダの毛を利用した製品が活発です。
現在、その文化はフェルト文化として残っており、ぬいぐるみ、スリッパ等のお土産に活かされています。
羊毛で作られた製品は保温性・吸湿性が共に優れており、日本のような高湿度環境でも長く愛用できる代物です。
チョコレート
モンゴル土産の内、手軽なものとして、チョコレートが挙げられます。
モンゴルでカカオ豆の生産をしているというわけではなく、チョコレート自体は何の変哲もない普通のチョコレートです。
しかし、パッケージが可愛いと、世界中で人気です。
モンゴルのチョコレートはゴールデンゴビ社が製造販売しているもので、パッケージはゲルのような形をしています。
普通包装のものもありますが、お土産に買うならこちらを選びたいですね。
宿泊施設はどんな場所?
一般的なホテル
海外旅行客向けのホテルはほとんどウランバートル市内に集中しています。
ホテルは清潔なものが多く、日本と同じような感覚で宿泊することができるでしょう。
価格帯も日本とそこまで変わりません。より高いサービスを求めれば1泊15000円以上しますし、ビジネスホテルであれば5000円以内で宿泊することも可能です。
ただし、前述の通り、チップ文化があるので、部屋まで荷物を運んでくれた時や客室に食事を用意してくれた方には数千トゥグルグのチップを用意しておきましょう。
ゲル
モンゴルに来たからには、モンゴル文化と草原に触れ、ゲルに泊まることを夢見ませんか?
ツーリストキャンプに行けば、大草原の中で一泊することができます。
ツーリストキャンプでは、草原の上で様々な体験をすることになるため、お風呂やトイレなどの不便はつきものです。
また、夏場でも寒いなんてことも。
しかし、そういった不便さを加味してもゲル宿泊はおすすめできます。
モンゴルの空は不純物が非常に少なく、夜には満天の星空を仰ぎ見ることができます。
夜空にはこんなに多くの星があったのかと驚くほどです。
渡航後の移動手段は何がある?
タクシー
モンゴルにもタクシーがありますが、ほとんどが正式に許可を取っていない、いわゆる白タクになります。
白タクが危なく、認可しているタクシーが安全・・・と言われるとそうでもなく、認可タクシーでもぼったくられる可能性があるのです。
白タクの方が沙汰を大きくしたくないのか、多少のチップを上乗せするとトラブルにはなりません。
しかし、いずれにせよ、初心者旅行者はタクシーを利用しないようにしましょう。
バス・電車
長距離移動で、コストを抑えたいのであれば、バスがおすすめです。
ウランバートルからバヤンウルギーまで2泊3日で行く長距離バスなんかもあります。
しかし、モンゴルのバスは他国からの中古流用品が多く、故障停止はつきもの。
しかも、道なき道を行ったりするため、道の間違えなんかはしばしばあります。
また、ウランバートル市内や近隣都市への移動であれば、鉄道・普通市民バス・トロリーバスがあります。
内、トロリーバスは運賃が普通市民バスに比べると半額ですが、スリの温床になっていることから、治安が悪いです。
馴れない旅行者は普通のバスを利用するのがおすすめです。
車
モンゴル国内移動の中で、一番楽なのはやはりレンタカーです。
モンゴルの草原で泊まることに馴れた方は車にテントを積み、宿泊費をうかすくらいです。
ただし、モンゴルで車を運転するには国際免許証が必要になってきます。
運転手を雇ってしまうとかなり高額になってしまうため、モンゴルで車を運転できる友人に頼んだり、国際免許証を持っている日本人の友人と一緒に行ったりという方が多いそうです。
ちなみにガソリン代は日本より気持ち安い程度です。
2021年夏現在の新型コロナウィルス事情
入出国の規制
現状、モンゴルでは渡航の際、一部規制状態になっていますが、一応渡航は可能です。
しかし、その規制は決して緩くはありません。
モンゴルに今渡航するのであれば、行くのも帰るのもそれなりの覚悟を必要としておいてください。
以下は日本首相官邸・外務省から抜粋したものです。
(引用:首相官邸ホームページ (kantei.go.jp))
(引用:外務省 海外安全ホームページ (mofa.go.jp))
モンゴルに入る時
入国前72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の提示。
▼新型コロナウイルスのワクチン接種を完了していない場合
①隔離施設において7日間隔離
②6日目にPCR検査を実施しPCR検査の結果が陰性であり、かつ症状がない場合は、隔離期間終了後、自宅で7日間の観察期間に移行。
▼新型コロナウイルスのワクチン接種を完了し14日間が経過、またはモンゴル入国前4か月以内に新型コロナウイルス感染症に感染し治癒した旨の証明書を提示できる場合
①自宅で7日間の観察期間を設けられる。父母または保護者が証明書を提示する18歳未満の子供は隔離施設に隔離せず、7日間の自宅観察。
※モンゴル政府が変異株流行国に指定した国から入国する場合は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を完了し14日間が経過した者、またはモンゴル入国前4か月以内に新型コロナウイルス感染症に感染し治癒した旨の証明書を提示可能でも、隔離観察施設において14日間隔離し、6日目および12日目にPCR検査を実施。
隔離終了時、PCR検査の結果陰性が確認された場合は、隔離を終了し、7日間の自宅観察に移行。
モンゴルから出る時
特に規制はありません。
日本に戻って来る時
▼国籍を問わず海外から日本へ入国する場合
①検査証明書の提出
・出国前72時間以内の検査(陰性)証明書の提出が必要です。
・3月19日より検査証明書を提示できない人は、日本への上陸が認められません。
・搭乗時に検査証明書を所持していない場合、航空機への搭乗を拒否されます。
・検査証明書の取得が困難かつやむを得ない場合、出発地の在外公館に相談が必要です。
▽入国時に必要な検査証明書の要件
1.検体採取が出国前の72時間以内であること
2.所定のフォーマットを使用して以下の内容を検査証明書へ記載する
・氏名/パスポート番号/国籍/生年月日/性別
・検査法/採取検体
・結果/検体採取日時/結果判明日/検査証明書交付年月日
・医療機関名/住所/医師名/医療機関印影
・すべての項目が英語で記載されたもの
3.検体採取方法は以下のいずかに限る
鼻咽頭ぬぐい液/唾液/鼻咽頭ぬぐい液・咽頭ぬぐい液の混合
※実際の検体採取箇所が「鼻咽頭」でも検査証明書に記載の検体が「鼻腔」を示す「Nasal swab」や「Nasal and throat swab」などとして記載されている場合は無効となる。
4.検査方法は以下のいずかに限る
RT-PCR法/LAMP法/TMA法/TRC法/Smart Amp法/NEAR法/次世代シーケンス法/抗原定量検査(抗原定性検査ではない)
▽入国時の注意事項
・空港等からの移動も含め公共交通機関の使用は不可です。
・入国後に待機する滞在先と空港等から移動する手段について検疫所に登録が必要です。
②空港での検査等
・日本到着時に全ての人に検査が実施され、結果が出るまで空港内のスペース・検疫所が指定した施設等で待機する必要があります。(到着から検査結果が判明して入国するまでの所要時間は検査方法により異なるため注意が必要です)
・検疫における検査の結果が陰性でも、検疫所長が指定する場所(自宅等)において14日間の待機が必要です。また保健所等による健康確認の対象となります。
③誓約書の提出
・国籍を問わず検疫所へ「誓約書」の提出が必要です。誓約の内容は14日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機、位置情報の保存、接触確認アプリの導入等になります。誓約書が提出できない場合、検疫所が確保する宿泊施設等で待機していただきます。
④スマートフォンの所持、指定アプリのインストール
・入国時、空港検疫で指定の位置情報確認アプリ等を利用できるスマートフォンの所持が必要です。
※スマートフォン不所持者は、スマートフォンを借り受けるよう求められます。
・お持ちのスマートフォンに、以下のアプリを事前にインストールおよび設定をする必要があります。
健康居所確認アプリ(MySOS等)/位置情報保存設定(GoogleMaps等)/COCOA(接触確認アプリ)
⑤入国後14日間の待機期間中のルール
1.入国者健康居所確認アプリ(MySOS)による位置情報・健康状態の報告(毎日)
(1)ログイン(利用開始の登録)
・専用のQRコードからインストール
・日本国内の空港到着時、パスポート番号、生年月日を入力して利用開始
(2)待機場所の登録・現在地の報告
・待機場所に到着したらアプリで待機場所を登録
・1日複数回「現在の位置情報」を求める通知が届くので、「現在地報告」ボタンを押して応答
(3)健康状態の報告(MySOS)
・1日1回、健康状態確認をお願いするMySOSの通知が届くので、案内に従い健康状態を報告
2.入国者健康居所確認アプリ(MySOS)による居所確認(随時)
・入国者健康確認センターから登録待機先の居所確認のため着信があったら必ず応答(ビデオ通話)
3.スマートフォンの位置情報記録の保存設定(GoogleMaps等の設定)
・陽性となった場合など、保存された位置情報を保健所などに提示するために必要な設定
4.COCOA(接触確認アプリ)の利用
▼外国人の新規入国等の一時停止の継続
①ビジネストラックおよびレジデンストラックの一時停止
②全ての国・地域からの新規入国の一時停止
③全ての国・地域への短期出張からの帰国・再入国時における特例措置の一時停止
モンゴル国内の感染状況
WHOの発表では、総感染者数は186532人、総死亡者数は889人、新規感染者数は1582人、新規志望者数は5人です。(2021年8月20日現在)
2021年4月頃から爆発的に増えており、5月~6月頃、一時期収まりを見せましたが、6月中旬には新規感染者2746人になりました。
現在は下降していっていますが、世界的に見ても、今後どうなるかは検討がつきません。
まとめ
モンゴルの渡航について、詳しくなったのではないでしょうか。
現在、新型コロナウィルスの影響により、モンゴルだけでなく、世界中どこでも旅行するのが憚られます。
モンゴルもコロナウィルス流行前は観光に力を入れていこうという動きがあったものの、すっかりとん挫してしまいました。
コロナウィルスを乗り越えた暁にはぜひ、モンゴルに遊びに行きたいですね!