モンゴルってこんな国!モンゴルについての基礎知識を総まとめ

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2021年7月4日、モンゴルの新しい国際空港「チンギスハーン国際空港(新ウランバートル国際空港)」がついに開港しました。同空港の運営には日本企業も携わっており、両国間はますます親密度が高まっていくと期待されています。モンゴルについて興味の湧いてきた人は、まずモンゴルとはどんな国なのかをおさらいしましょう。本記事では、モンゴル国の基本情報をさまざまな角度から紹介します。

モンゴル国の基本情報

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モンゴルは東アジア北部に位置する内陸国家。国土の上下をロシア・中国という大国にはさまれています。日本とは第二次世界大戦の「ノモンハン事件」により険悪になった時期もありますが、現在の関係は良好と言って問題ないでしょう。

日本からモンゴルまでは直行便も運航しており、成田空港ならおよそ5時間30分、関空からならおよそ4時間30分でアクセス可能です。

ここからは、モンゴルの基本情報を紹介します。

1. 国名の意味

モンゴル国は英語で「Mongolian State」、モンゴル語で「Монгол Улс(モンゴル・オルス)」と記します。

モンゴルとは12世紀頃に台頭した草原の一部族「モンゴル族」に因んだ名前で、モンゴル語で「勇敢な人」という意味です。

「モンゴル帝国」「元」以降、草原の覇権は中国に取って代わられましたが、1924年には再びモンゴル民族の国が誕生します。これが世界2番目の社会主義国家となった「モンゴル人民共和国」で、民主制が採用されるまで続きました。

現在の「モンゴル国」という国名になったのは、1992年のことです。

2. 国旗の意味

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モンゴルの国旗は左から赤・青・赤の配色です。国旗の色には、それぞれ次のような意味があります。

  • 赤:勝利と歓喜
  • 青:不変の空・忠誠・献身

また、国旗の左側に黄色で描かれているのは「ソヨンボ(蓮台)」と呼ばれる伝統的なシンボルです

上から炎、太陽と月、矢、巴型の魚、要塞を表わしており、こちらにもそれぞれ深い意味が込められています。

  • 炎:回復・成長
  • 太陽と月:古くから伝わる自然宗教
  • 2匹の魚:宇宙の単一性と陰陽
  • 要塞:団結

なお、要塞に使われている2つの長方形は、「2人の友情は石壁よりも強い」というモンゴルのことわざを象徴しているそうです。

3. 気候

モンゴルは大陸性のステップ気候に属し、湿度が低く雨が少ないことで知られています。年間降水量は日本の平均の1/4程度しかなく、「青空の国」としても有名です。

また、気温については冬期・夏期での変化が激しいことで知られます。

モンゴルは冬になると場所によっては-40度近くになることがある一方、夏は40度近くまで気温が上昇することも少なくありません。苛烈な気候から作物が育ちにくく、「遊牧」というライフスタイルが生まれたと見られています。

モンゴル観光を考えているなら、春・夏が最も美しい時期です。基本的に空気がカラッとしているので、気温が高くても不快感を覚えることはありません。湿度+高温に苦しむ日本人なら、快適にさえ感じるでしょう。

4 国土面積

モンゴルの国土は日本の約4倍で、約156万4,100平方キロメートルあります。国土の80%は草原が占めますが、美しい河川や湖・沼なども豊富です。

また、北部には高い山々があって針葉樹林が広がる一方で、南部には乾燥したゴビ砂漠が広がっています。モンゴル国内の風景は場所によって大きく異なり、それぞれのエリアで異なる景観を楽しむことができます。

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5. 人口・民族

モンゴル 寺

モンゴル国の人口は、335万7,542人です(2020年時点)。このうちの約95%はモンゴル民族で、残る約5%をテュルク系のカザフ族が占めます。

この数字だを見た場合、モンゴル国は「モンゴル民族だけの国」と見えるかもしれません。しかし実際には、同じモンゴル民族でも部族によって文化・伝統などは異なります。

現状、モンゴル民族の多数派となっているのは、約80%を占める「ハルハ族」です。このほか、「ブリアート族」「トルグート族」「ダリガンガ族」など、さまざまな部族が各地に散らばっています。

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6. 首都

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モンゴル国の首都は、国の中央部よりやや北に位置する「ウランバートル:Ulaanbaatar:Улаанбаатар」です。モンゴル語で「赤い英雄」の意味があり、モンゴルが中国から独立して「モンゴル人民共和国」になった際に名付けられました。

ウランバートルの人口は159万7,290人で、モンゴル国の人口の約半数を占めます(2020年時点)。モンゴル国の政治・経済・文化の全てがウランバートルに集中しており、国内にはウランバートルと並ぶ都市はありません。ウランバートルは現在「首都特別区」に指定され、「県」と同等の待遇が認められています。

一般に草原の国というイメージが強いモンゴルですが、ウランバートルには高層ビルが立ち並び、非常に近代的です。人の往来も多く活気がありますが、大気汚染の深刻さは世界で1・2を争うと言われています。特に冬場のウランバートルの大気の状態は、非常に危険です。冬場に旅行する予定のある人はマスクをする等対策をした方がよいでしょう。

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7. 通貨

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モンゴル国の通貨は「トゥグルク」(Mongolian tögrög 又は tugrik)です。通貨記号は「₮」を使い、日本の「JPY」に該当する通貨コードは「MNT」を使います。

一般に流通しているお金は全て紙幣で、日本のような硬貨はありません。額面の種類は以下の通りです。

  • 1・5・10・20・50
  • 100
  • 500
  • 1,000
  • 5,000
  • 10,000
  • 20,000

紙幣には、モンゴル帝国の祖「チンギスハーン」、さらにはモンゴル独立の英雄といわれる「ダムディン・フスバートル」が描かれています。

なお、現在のレートは「1 JPY = 25.9471 MNT」です。(2021年7月時点)

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8. 言語

モンゴル国の公用語は「モンゴル語」です。さらに詳しく言うなら、ハルハ族が話す「ハルハ・モンゴル語」が標準語とされています。モンゴルには多数の民族が存在しており、どれも同じというわけではありません。例えば、テュルク系に属するカザフ民族はモンゴル語を理解しない人も多いといわれ、彼ら独自のカザフ語を話します。

日本でも、標準語は東京弁ですが、東北弁・関西弁・九州弁などさまざまな方言がありますよね。モンゴルも同様で、部族によってさまざまな言葉があるのです。

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モンゴル国の文化

果てしなく続く草原を有するモンゴルの人々は、古くから遊牧生活をして暮らしてきました。定住して稲作を営んでいた大和民族とは大きな違いがあり、知れば知るほど興味深く感じるでしょう。

ここからは、モンゴル国の文化について紹介します。

1. 遊牧民

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モンゴル民族は、伝統的に遊牧生活を営んできた遊牧民です。彼らは家畜とともに季節ごとに居住地を変え、「ゲル」と呼ばれる組み立て式の家で暮らします。家畜を追うために馬を使用したことから、馬の扱いに長けているのも特徴です。

ただし、現在モンゴル国における遊牧民の数は1割程度にまで減少しているといわれます。その原因には「社会主義から民主主義に移行したこと」「地球温暖化により異常気象が発生しやすくなったこと」などの問題が複雑に絡み合っており、いまだ解決策は見えていません。

デジタル化した世界情勢や資本主義経済をベースに発展しているモンゴル社会のシステムなどを考えると、モンゴル国内の遊牧民が今後増えていくとは考えにくい状態です。

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2. モンゴル料理

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出典:David Berkowitz

米を食する習慣のないモンゴルでは、小麦粉やヒツジ肉をつかった伝統料理が主流です。
代表的なものとして、以下のような料理があります。

  • ホーショール:ヒツジ肉・細かく刻んだタマネギを小麦粉の皮で包んで揚げたもの
  • ボウズ:ヒツジ肉・タマネギを小麦粉の皮で包み蒸したもの
  • ツォイワン:小麦粉の麺を使った肉入り焼きうどん
  • ノゴートイ シュル:野菜・肉をたくさん入れた塩味のスープ

このうち、正月などのおめでたいときに食されるのが「ホーショール」。日本でおなじみの肉まんに似ています。このほか、子どもからお年寄りまでおいしく飲める「馬乳酒」もモンゴルの遊牧民ならではの味です。

3. 民族衣装

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モンゴルの伝統的な民族衣装は「デール」と呼ばれます。立襟で左合わせの長衣で、帽子・ブーツ・ズボンを合わせて着用するのが一般的なスタイルです。遊牧民の生活スタイルから生まれた服なので、馬上での動きやすさが重視されています。脱いだときは敷物・掛け物としてつかうこともでき、用途の多い衣装です。

現在日常的に着用する人は減っていますが、デールは特別な日の「晴れ着」として非常にポピュラーです。お正月やナーダムの折には、華やかなデールに身を包んだ人々を見られるでしょう。

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4. 伝統行事

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モンゴルで特に盛大に祝われるのは、革命記念日に行われる「ナーダム」と、旧正月の「ツァガンサル(白い月)」です。

ナーダム

モンゴルの革命記念日は、中華民国から独立した7月11日です。

ナーダムは、この日から7月11~15日まで開催されます。期間中は国中から猛者が集まって、モンゴルで最もポピュラーな3競技「競馬」「相撲」「弓」を競うのが決まりです。

また、ナーダムの日はフスバートル広場からスタジアムまでパレードが行われ、ウランバートルはいつもより一層華やかな雰囲気に包まれます。会場のあちこちでモンゴルの伝統音楽や歌が披露されており、ナーダムを見れば遊牧民族の歴史・文化を肌で感じることができるでしょう。

ツァンガサル

ツァガンサルは、旧暦のお正月です。日にちは太陽太陰暦で決められるため、毎年同じではありません。1月の終わりから、2月の初めになるのが一般的です。

ツァンガサルになると、モンゴルの人々は新しくきれいな服を着て日の出前に起き、家族同士で1年最初のあいさつを交わします。それから親戚の家を回ったり来客をもてなしたりなどをして、親戚や仲のよい人と楽しく過ごすのが習慣です。

なお、白はモンゴルでは純粋さを表わすとともに、尊いミルクの色と考えられています。「白い月」と呼ばれるツァンガサルには「何も悪いことがおきない、まっさらな日」という意味が含まれているそうです。

5. 宗教

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現在国民の多くが信仰するのはチベット仏教です。

社会主義時代のモンゴルは宗教の自由が認められておらず、チベット仏教は一時衰退しました。しかし民主化とともに信仰の自由が憲法で保障され、人々は再び仏に祈りを捧げるように。遊牧民が暮らすゲルにも仏教の祭壇が置かれるなど、仏教は人々の生活に深く根ざしています。

また、仏教と共に人々の生活に深く関わっているのが、自然を崇拝するシャーマニズムです。その昔、チンギスハーンは戦いにシャーマンを同行したとか。草原では今もその伝統が残り、シャーマンに占いや祈祷を頼む人は少なくありません。

草原に石や木で作られた不思議な塚を見つけたら、それは「オボー」と呼ばれるものです。シャ-マンや人々はここに集い、宗教的儀式を行います。

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モンゴル国の世界遺産

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モンゴルは青い空と緑の草原のコントラストが何よりも美しい国ですが、見どころはそれだけではありません。現在、モンゴルには世界遺産として認定されているスポットが5つあります。

実際に行くのは難しい場所もありますが、オルホン渓谷あたりなら足を運びやすいかもしれません。モンゴルならではの自然・文化遺産にもぜひ興味を持って下さいね。

モンゴルにある世界遺産を紹介します。

1. ウヴス・ヌール盆地

ウヴス・ヌール盆地は、モンゴル北西部に位置する世界遺産です。このエリアは、砂漠気候とツンドラ気候が混在する特異なエリア。夏の気温は47度にもなる一方、冬は-60度を記録することもあります。

盆地には古代の海の名残といわれる「ウヴス湖」があるほか、ここにしか生息しない動物や植が多数います。湖周辺にはスキタイやテュルクの遺跡も発見されており、見どころは多いといえるでしょう。

2 オルホン渓谷文化的景観

首都ウランバートルの南西360kmの場所にある世界遺産です。

その昔、モンゴルの部族達はオルホン渓谷を「王者の場所」と考えたとか。世界遺産に指定された12万1967haにも及ぶ広大なエリアには、6~13世紀頃にモンゴルで活躍した様々な部族の遺跡が残っています。

6~7世紀の突厥の石碑、13~14世紀のモンゴル帝国の首都遺跡、さらにはモンゴル初の仏教寺院「エルデニゾー」…、このエリアを訪れれば、遊牧民族たちが駆けた草原の歴史を肌で感じることができるでしょう。

3. モンゴル・アルタイ山系の岩絵群

モンゴル・アルタイ山系の岩絵群は、バヤンウルギー県のアルタイ山脈に残る3つの岩絵です。最も古いものは紀元前1万1000年~6000年頃に描かれたと見られており、当時の人々がマンモスやヘラジカなどを狩猟して生計を立てていたことなどがうかがえます。

壁画には当時の人々の暮らしぶりや狩猟から遊牧へ移っていった様子などが描かれており、歴史的価値は計り知れません。東アジアの先史時代の歴史を知る上で非常に重要な手掛かりになるとして、世界遺産に登録されました。

4. 大ボルハン・ハルドゥン山とその周辺の聖なる景観

大ボルハン・ハルドゥン山とは、モンゴル国東部・ヘンディー県に連なる山脈の一部です。モンゴル語で「神の山」という意味で、非常に神聖な山として崇められています。日本人にとっての「富士山」のような存在というと分かりやすいでしょうか。

この地はモンゴル族の発祥地と言われており、かのチンギスハーンとも縁が深いエリアです。彼の墓所は現在まで特定されていませんが、大ボルハン・ハルドゥン山にあることは間違いないと言われています。

5. ダウリアの景観群

こちらは、ロシアとモンゴルにまたがる半砂漠気候の草原地帯です。両国合わせて4ヵ所の自然保護区が世界自然遺産として認定されました。

ダウリアとは、17世紀頃まで使われていた、バイカル湖東の「ザバイカル」エリアと沿アムール西部エリアの総称です。先に紹介したウヴス・ヌール盆地と同様に砂漠気候とツンドラ気候が共存しており、年間で約100度、1日では10~15度も気温差があるといわれます。

ここに存在する生物・植物は多様性に富み、ほかでは見られない絶滅危惧種なども多数見つかっています。

モンゴルならではの文化・景観を楽しもう

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遊牧国家としての歴史を持つモンゴル国は、衣・食・住とも日本とは全く異なる歴史・伝統を持ちます。島国の農耕民族としては目に映るもの全てが珍しく、新鮮に感じるに違いありません。観光などで訪れた際は、ぜひあらゆるものに興味を持ってくださいね。

特に、果てしなく広がる草原の風景はモンゴルでしかお目に掛かれません。できるだけたくさん時間を取って、素晴らしい風景を目に焼き付けましょう。